1つの部屋に1つのベッド。
1人の女に1人の男。
君は“男は狼”だって聞いたことあるのかな?
眠り姫
すやすやと眠る美しい女性。
…それが彼女の名前だ。
ひょんなことから千年公に頼まれ、俺が面倒をみることになっている。
「しっかし‥ここまで警戒心がないと危ないんじゃないか?」
1つの部屋で男と夜を明かす。
なんて、年頃の女の子にとっちゃ死活問題だろうに…。
(寝ている女を襲うほど、俺は落ちぶれちゃいないが)
もしかして俺が男として認められてないってことか?
そうだとしたら――…悲しいな。
彼女は俺が惚れた唯一の人間なのだから
「…」
指で輪郭をなぞる。
雪よりも白い、きめ細やかな肌が目に入った。
今は閉じられている瞼の、奥に眠る光輝く瞳。
色も形も最高と形容するほかないような唇。
思わず吸い込まれそうになっている俺がいた。
どうしようもないくらい、が好きだ。
手を出して、念じる。
俺はにふれたくない と。
俺の能力はさわりたいと思ったモノ以外すべて通り抜けることだから、このままにふれれば彼女を通り抜けるはず…。
なんだが、
触りたくない‥
触りたくない…
触りたく――…
ぴたっ。
「おいおい」
という結果になったのは記憶に新しい。
…かなり重傷だ。
深層心理の段階で、俺はにふれたいと思ってしまっているのだから。
どうしようもないくらい、のことが好きだ。
誰にもふれさせたくないくらい。
‥それ以前に、誰の目にもさらしたくない。
できることなら、狭い部屋に閉じ込めて俺だけのモノにしたい。
そんな狂った愛情。
俺が持っちゃいけなかったのに‥。
何故千年公より早くに出会わなかったのだろう――…
ちっちゃくて、華奢なに。
俺だけのに――…
そうしたら、面と向かってこの想いを告げられたのに。
不公平だろ カミサマ?
「………」
この想いはノアとして決して許されるものではないとわかってる。
…けど、好きになっちゃったもんは仕方ないだろ?
「責任、とってくれよ?」
白い俺を こんなにも堕とさせたのだから。
黒い俺を こんなにも癒やしてしまったのだから。
はやく――‥
眠りから目覚めて俺を見て?
はやく はやく――…
その瞳の中に俺だけを写して?
安らかに眠るの額に、優しくキスを落とした。
「おはよう 」
俺だけの眠り姫。
【あとがき】
友達曰く歩く18禁。
鯉を食べてる姿が印象的な彼でs(ドウデモイイ