大きな力を持った。
邪魔するものなんてないと思った。
そんなの、ただの傲慢だった。
Dent De Lion
肩を掴むと、身体が跳ねた。
怯えているのか、小刻みに震え 身体を小さくしている。
と思った次の瞬間、突如暴れ出した。
「な、ナルト…?」
声をかけ、手を伸ばした次の瞬間、ナルトは突如暴れだした。
思わず伸ばしかけた手をひっこめてしまう。
ナルトはその機会を逃さずに、少しでも距離を取ろうと後退した。
…離れていく。
どんどん、どんどん。
ザクッ。
「っうぁああ!!」
あまりの痛みに、叫んでしまう。
突如として右肩に衝撃が走ったかと思えば燃えるような痛みを生じた。
油断した。
いつ襲撃されてもおかしくない状況だったのに、くそうっ!
苛立ちを押さえ、冷静に背後の敵を一蹴して、部屋の端までぶっ飛ばす。
気配を読むが、どうやら待ち伏せされていたというわけではないようで、他には誰もいないようだ。
ここまでたどり着くと思ってなかったんだろう。
数え切れないほどの罠と人を突破しなければならなかったし…
でも‥コレは本物なのだろうか?
本物であると信じたいが、先ほどのことがある。
敵がナルトに化けていてもおかしくない。
「…何をするにもこの耳も口も塞がれている状態から解放してやらなければ始まらない、か。」
念のため警戒し、刀を構えたまま空いている手で轡と目隠しを外した。
「、兄ちゃん…?」
ナルトだ。
いや、ナルトだと信じたい。
でも確かめる方法がない…
…そうか!
「ナルト。うちとの出会いは?」
「ぇ…」
うちらの出会いはナルトとうちしか知らない。
だから本物のナルトなら答えられるはずだ。
どんな風に出会い、その後どうしたのかを。
もし答えられないときは…
「出会い。答えられないの?」
やっぱり…
これも、偽物なのだろうか?
「ご、ゴミ捨て場で……拾ったんだってばよ。うさぎの形をしたピンクの看板首から下げてて…――」
「ああ、良かった…」
「兄ちゃん?ちょ、どうしたんだってばよ」
ナルトは戸惑いながらも腕の中に大人しく収まっていてくれた。
ちっちゃくて、温かい。
やっと見つけ出した。
それからすぐに、肩に刺さった刀や大量の血痕を見つけてナルトが騒ぎ出す。
大丈夫だと言い聞かせるも、ナルトは決して信じなかった。
見れば、なるほど。肩の肉がぱっくりと裂け、どす黒い色をした血が湧き水のように次から次へと流れ出している。
これ…ホントに大丈夫なのかな?
ナルトじゃないけれど、心配になってきた。
血液はどれくらいまで失ってもいいんだっけ?
この出血量じゃナルトを火影様の元に連れて行くことも、ましてや地上に戻ることさえ出来るかどうか…。
…いけない。
弱気になってはだめだ。
とりあえず応援を呼んでこなくちゃ。
可能な限り優しい笑顔で、不安にさせないようにする。
ナルトの手を引き、来る途中で偶然見つけた隠し部屋の一つに立ち寄った。
「ここに隠れていれば安全だから…」
「兄ちゃんどっか行っちゃうの?」
にっこり笑ってごまかした。
知る必要はない。
すぐそこに敵が迫っている事なんて。
すぐに走り出そうとした。
その足が、
ぐっと掴まれ動けなくなった。
「行かないで…」
「ナルト?」
「一人に…しないで」
足にしがみつき、震えがとまらないナルト。
「一人にしないで」と、年相応な姿にうちが必ず守ってやると決めた。
部屋を出て、薄暗く照らされた地下道を用心深く歩いていく。
来た道と同じはずなのに、ナルトから伝わってくる暖かさで全然違って見えた。
人って、こんなにも暖かなものだっただろうか。
そこらに転がっている奴らを殺した時には気付かなかった。
真っ赤な血潮を浴びても、ただ冷たいだけだった。
焦り、怒り、苛立ちが形を変えて力になる。
守らなきゃ。
この子を守らなくちゃ。
待ち伏せされていたんだろう、地上と地下を結ぶ入り口付近には敵があふれており、囲まれている。
この人数は…さすがにヤバイな。
ちらりとナルトの様子を伺えば、やはり怯えている。
「ナルト‥‥怖い?」
「こ、怖くなんか…ないってばよ」
「そっか。ナルトは強い子だね
でも、
ちょっと酷だから…
少しだけ目を瞑って待っててね。」
Backl
【あとがき】
むちゃくちゃ詰め込んだ感がいなめない…