きっと今までにも、こういうことはあったんだろう。
――‥うちの知らないところでさ。
Dent De Lion
「あんたたち何してんだ!!」
目の前に、3人の男。
そして取り囲まれるようにしてうずくまっている、小さな何か。
男たちはそれに背を向けて、こちらからは見えないように隠した。
けれどもうちにはしっかり見えた。
黄色い髪。
オレンジの服。
…まさか、そんなはず…?
「そこを退いてください」
「なんだお前は?」
「…もしかしたら例のガキじゃないッスか?ほら、ちょっと前から出入りするようになったっていう‥」
「あぁ、こいつが…」
例のなんだというのだろうか。
自分は知らないのに、向こうは知っているというのは気にくわない。
いや、そんなことよりも本当にナルトなのかを確認しないと!
「退けっつってんだろ!」
「おいおい。まぁ落ち着けって」
「そうだぜー「っんの!!」痛ぇ!」
真っ正面にいた男に体当たりをして横に突き飛ばす。
「嘘だろ……?」
傷付いたナルトがそこにいた。
頭を抱えて丸くなり、服は土で汚れ、所々破れている。
…酷い。
「…あんたたちの仕業か?」
「ふん。そうさ、俺たちがやったよ…当然の報いだ」
「あぁ、里に災いをもたらした元凶がのうのうと暮らしているというのは許せないからな」
耳を疑った。
暴力を認めた挙句、良いことをしたとばかりに誇らしげに笑っている男達…
当然の報い?
里に災いをもたらした?
まだこんな子どもだというのに。ナルトは関係ないじゃないか。
ナルト…。
恐る恐る手をのばすと、ナルトは身体を強ばらせた。
気を失っているのか…それとも、うちのことさえも拒絶しているのか。
「っこのクソガキ!!」
ドカッ!
「うっ…」
さっき突き飛ばした男が逆上し、うちを思いっきり蹴り上げた。
ザザーッと砂利の上を転がる。
石礫が顔に当たり、擦る。
――痛い。
口の中がザラザラする。
けれどもそれだけでは怒りが収まりきらなかったのか、男は何度も何度も蹴った。
続けざまに蹴られ、吐きそうになった。
――苦しい。
「こいつ、もうへばってるみたいだ。根性ねぇなぁ」
「九尾のガキなんかと馴れ合いやがって…気持ち悪いんだよ!」
「おい。それは禁句だろ」
「いいんだよ。どうせもう聞こえちゃいないさ」
男の予測に反して、うちはまだ意識があった。
だから聞こえていた。
【きゅうび】のガキ…
【禁句】…
――‥あぁ、やっと今わかったよ。
痣。
視線。
特別な理由。
全てが繋がり、全貌が見えた。
ナルトは――‥
ドカッ!
「…カハッ!」
口の中から 苦くて赤いモノが出た
それを最後に 世界がまた白になる
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