え?
ストーカー?
違う違う。そんなんじゃない。
これは観察。
最近よくやってるから日課になりつつある。
…ま、単なる暇つぶしなんだけど。
Dent De Lion
「これからんちにお邪魔してもいい?」
「よくありません」
はただそう言った。
それだけだった。
‥ちょっと寂しい。
変な人として出会った日から早数日。
俺はと仲良くなったつもりでいた。
だから、からの返事はもっと愛のこもった言葉を予期してかかっていたんだけど…
このもの足りない返事が俺の自信を少し痛めた。
なんだかなぁ‥――
俺はよくこうやってに失望させられた。
はそのことにまったく気がついていない様に見えたが…実はわかってやっているようだった。
でもそんな風に接されて、いくら失望を繰り返しても、から離れて行く気にはなれなかった。
俺はを嫌いにはなれなかった。
むしろ 、不安に揺り動かされる度に、もっと前へ進みたくなった。
ほら、何て言うの?
好きな子には辛く当たっちゃうってやつ?
だからきっとは俺に気があるんだよ。
…なんて、あったらいいのにな。
「兄ちゃんただいまだってばよ!」
「…お帰り。ナルト」
抱きついてきたうずまきナルトにだけ向けられる笑顔。
この笑顔を自分の方へ向かせたい。
それが俺の前に進む理由なんだろう。
すべての人間に対してこんな気持ちになるわけではなかった。
だから…が特別だったから。
「〜」
「んな!?ちょっと!離れて下さいって」
抱きしめられることに慣れていないのか、懸命に俺から逃れようとする。
力いっぱいもがいているけれど、このくらい俺には痛くも痒くもない。
腕の中にすっぽり収まるサイズといい、力の無さといい‥この子は女の子としか思えない。
俺のセンサーも反応しているし…体型からも肩幅からも間違いない。
ま、言葉使いは――‥
「離せって言ってんだろうが!」
「ハハハ。照れちゃって可愛いなぁ…」
「て、てれ……違うっ!!」
完璧男だけどさ。
胸か下にあるものを触って確かめる手もあるけど、もう金輪際近寄るな!とか言われそうで困る。
セクハラして掴まるのは御免だし。
ま。だから、“今”は男ってことでいいや。
「おじさん。兄ちゃん嫌がってるってばよ!」
「そうだ!!離せ」
「や〜だよ」
小さな金髪のガキにちゃちゃを入れられるが、そんなガキなんてアウトオブ眼中だ。
たとえその子が九尾の――‥だったとしても 、今はまだ子どもだし俺のが強いもんね。
それにこのガキむかつくんだよ。
のこといつだって独り占めにしちゃってさ。
俺がここまでたどり着くのにどんだけ労力費やしたと思ってるんだよ。
「って痛ッ!!?」
「ふぁふぁふいーゃんかあ、はりゃれお〜」(訳:兄ちゃんか
ら、離れろー)
「ナイスナルト!」「ぁ…」
突然の不意打ち。
ちょっと目を離した内にまさか太ももを思いっきり噛まれるとは思ってなかったので、思わず腕の力を緩めてしまった。
(元々全然力入ってなかったんだけどね)
残念‥逃げられちゃった。
しかもを守るようにしてうずまきナルトが俺の前に立っている。
警戒されちゃったのかな?
「ま、いっか。またネ」
今度は二人きりになれる時に、部屋へ招待してね。
「んなっ!?」
伝えたいことをはっきり耳元で囁いてから、瞬身の術を使いその場を後にした。
次にくる【今度】が楽しみだ。
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【あとがき】
若カカシに何故か気に入られちゃった。って話。