捕獲大作戦!

テンションがありえないくらいに高いです。
だって忍術使って捕まえるなんて漫画みたいでかっこよくない?







Dent De Lion





昨晩【分身の術】を覚えてから閃いた作戦。
名付けて『尾行を尾行して尻尾をつかむぞ大作戦!』
…まぁネーミングセンスのなさはご愛嬌。
内容は名前の通り尾行している奴を尾行して犯人を捕獲するといういたってシンプル。かつスマートなものである。
つまり、自分を分身の術でもう一人作り出し、その自分に悪戯をしかけるやつを見付だし捕まえるという作戦なのだ。
小学生でもすぐに思い付きそうな案だが、うちはこの作戦を練るのに30分も費やした。
(ぶっちゃけ30分で他にもいくつか作戦を思いついたんだけど、全部成功確率が低いということでこれに決まったというわけです。はい)


「というわけで、行ってこようか分身一号君」

ポンッと肩に手を置くと、力強く頷いてくれた。
さすが自分。
頼もしい限りである。
分身一号君をバイト先の古本屋の裏口から先に出ていかせた。
それから分身の姿が見えるか見えなくなるか、ギリギリになった所で後を追う。
もちろん尾行している可能性の高い犯人には見つからないように注意を払って。


さてさて。捕まってくれるだろうか?


先を行く分身の姿を見ながら思った。
今日これで捕まえることができなければまた新しい手立てを考えなければいけなくなる。
そしたら色々と面倒だ。
なんとか犯人が引っかかってくれればいいけど…

「…ぁ」

分身が罠にかかった。
今回は地面に落ちていた特大サイズのガムを踏んづけるという地味なものだったが…自分が罠にはまったのを見ているこちらとしては複雑な心境だ。
地面と仲良くしたがる靴を必死に引き剥がそうとするその様は、なんだか間抜けで…。
うち、いつも通行人から見たらこんな風に思われてたのかな。

ドシン。という音がして、一号君が尻餅をつきながらも靴を救出した。
痛い。あれ絶対痛い…
うち自身が怪我をしたわけではないのに、思わずお尻をさすってしまったのは仕方のないことだと思う。

しばらくして踏ん切りがついたのか、一号君は立ち上がり、ほこりを払ってから何事もなかったかのように歩き出した。
ペタペタいう右足と共に…


「ん?あれは…」

電柱や壁に隠れるようにして、分身一号の後ろをついていく女の子。
見覚えがある。
ナルトの友達を呼んだパーティーに来ていた子だ。



まさか。あの子が…?



…いや、まだ決まったわけじゃない。
たまたまうちを見つけたから後を追いかけてるだけかもしれないじゃないか。
そうだ。決めつけはよくない。
だいたいあの子はナルトの友達だぞ?
嫌がらせなんかするはずないじゃないか。


「…様子をみよう」

何も起こらないことを願いながら。















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