トントントンと、まな板をたたく音。
ジューッと焼けるいい匂い。
なんだか、家が歌ってるみたいだ。







Dent De Lion





「……ッ兄ちゃん!!」

バッ!と飛び起きて慌てた。
大変だ!
なんでオレベッドで眠りこけてたんだろう!
兄ちゃんが行方不明になっているというのに…!

「あ、起きた?おはようナルト」
「え……兄ちゃん?」
「何?」
「い、いや何でもないってばよ!顔洗ってくる…」


バシャバシャと冷水で顔を洗う。
目が覚めて、頭が冴えていく。

不思議な顔をして台所に立っていた兄ちゃん。
ちゃんと兄ちゃんはそこに存在していた。
…夜中に兄ちゃんがいなくなったのは夢だったとでもいうのだろうか?
もしそうだとしたら…最悪な夢だったってばよ。
もうあんな夢は2度と見たくない。


「はいタオル」
「あ、ありがと兄ちゃん」
「どういたしまして。ナルト今日も学校‥じゃなくてアカデミーなんだろ?」
「うん。そうだってばよ」
「じゃあ急がないと遅刻しちゃうよ?もう朝ごはんは出来てるから早く食べちゃいな」

言われるがまま席に着く。
机の上に並べられている、目玉焼きやサラダ、パンにベーゴン。
いただきます!と声をそろえてから、2人そろって食べ始める。
今まではこんな悠長な時間もってられなかった。
オレってば結構寝坊することが多かったから、朝は特に時間がなかったし。
(だから朝食なんて、パン焼いて牛乳飲んでおしまい!…だったしなぁ)
まさかオレにこんな時間を持てる時がくるだなんて思っても見なかった。
こんな時間を持てるなんて、嬉しい。

「時間、大丈夫?」
「まだ平気だってばよ!」

できるだけ一緒にいたい。
でも、オレがアカデミーに行っている間、兄ちゃんってばどうするんだろう?
ずっと部屋に篭ってるのかな?
でも部屋は兄ちゃんが片付けてくれたおかげで今は掃除をする必要がないくらい綺麗だし、だからといって掃除の他にはやることなんてないだろうしなぁ…

兄ちゃんさ、今日は何してるんだってばよ?」
「今日?今日は――‥考えてなかったな」

んー‥何しよう?
悩みだす兄ちゃん。
部屋の中に篭る前提で考えているみたいだけど、それは健康によくないと思う。

あ、でも外出しようとしても鍵がないんだ…
…仕方ない。
今日だけは兄ちゃんに我慢してもらおう。
オレの今日の予定は決まったってばよ。
それにイルカ先生に入学できるのかも聞かなきゃいけない。
よし、少し時間に余裕を持って出かけよう!



「誰か来ても絶対ドアを開けちゃダメだってばよ?」
「はいはい」
「宅配便も集金もあとでまた来てもらうから出ないでいいから」
「わかったから気をつけて行ってらっしゃいな」

玄関を出た。
振り向けば苦笑を浮かべた兄ちゃんが見送りにきてくれていた。
…心配だ。
あと、何か注意しておいたほうがいいことあったっけ?

「ほら遅刻しちゃうよ?」
「わかったってばよー」

いそいそと通路を進む。



「あ!セールスは「いいからいってこい」







放課後兄ちゃん用に、青い合鍵を作って渡した。















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みんな記憶消されてます。
覚えているのは火影さまとカカシと自称神様、そしてあと一人だけ。