いい加減…
夢から醒めたい今日この頃です。
チョコチョコ大冒険!
“チョコボ”と呼ばれる身体になって早7日。
へんてこな日常はまだまだ続いております。
それどころか、終わりが見えません。
当初は夢だと思っていましたが、夢にしては長すぎます。
どれだけ寝ているんだ?って話になります。
あれですか?もしかしなくても植物状態ってヤツですか?
それとも前世の記憶を持ったまま転生しちゃったwってヤツですか?
「どちらにしても嫌じゃボケぃ!」
ピギャ!!
イライラしたので、とりあえず近くにいたチョコボAの頭を引っぱたいといた。
「痛い!」
「女王様何するの!?」
「え?私何もしてないけど?」
………クエ?
………クエ?
おめめがクリッとしてて、愛らしく。
羽根はふわふわしてて、思わず抱きつきたくなる。
そんな可愛いぃ〜生物が小首をかしげて考え込む姿を
見て、悶えずにいられるものか。いや、悶え死ぬ!
…ところだけど、自分もこの姿になってしまっていると思うと内心複雑なんだよね…。
てか少しは疑えよ。このプリチー馬鹿鳥共め!
「あ、ゴブリンさん。先日はどうもお世話になりましたー」
ゴブゴブ。
「え?なんです?これ貰っちゃっていいんですか?」
ゴブ!
「ありがとうございますー。いやーホント助かります」
ゴブブ。
「はい、ではまた」
失礼します〜。と言って小鬼の集団に別れを告げる。
あれは4日前に人間に襲われた時に助けてくれたゴブリンたちだった。
RPGといえば、通常、主人公がゴブリンなどの“モンスター”に襲われて、そこを勇者やら助っ人なんかの“人間”に助けてもらうのが筋である。
しかし、私の場合は正反対で、“人間”に襲われていたところを“モンスター”である彼らに助けてもらった。
(‥まぁ、私自身が“モンスター”であるから普通っちゃー普通なんだろうけど)
自分たちの身長よりも大きい剣を持つ人間に向かって、勇猛果敢に挑み、あまつさえ勝ってしまったゴブリンたち…
当初、ゴブリンは雑魚キャラの類に分類されてたと記憶していたが、彼らの繰り出すパンチを見て、その考えを改めた。
ゴブリンパンチを繰り出すその姿は、亀田兄弟も逃げ出すほどの気迫が篭っていたのだから…―――
「女王様ずーるーいー!!!」
「ずーるーーい!」
「っうるさいなぁ。人がせっかく回想してたのに………そんなもの欲し
そうな顔しなくてもあげるから。だから しーずーかーにー」
クエ♪
クエ〜♪
ゴブリンから貰った実を渡すと飛び上がってダンスを始めるチョコボAとチョコボB。
脳内には、私のことと食べ物のことしかないらしい…。
ちなみにこいつら、私の護衛だったりする。
「どう?」
「おいしい!」
「おいしい!」
「そう。そりゃよかった」
ホントは護衛なんていらなかった。
チョコボだけじゃないけれど、モンスターは基本的におつむが少し弱い。
会話だって断片的というかなんというか…とにかく、人間のようには続かない。
だから、自分1人で旅をした方が何かと楽だと踏んでいた。
けれども、あの全国チョコボ大集会(私命名)で1番年配の長老らしき
チョコボに
「護衛ダメなら、みなでついてく!」
と脅され、しかもそれに便乗するかのごとく周りのチョコボが騒ぎ出しので、仕方なく1羽限定ということで承諾したのだ。
そして、選ばれたのがこのチョコボAとチョコボB。
何故1羽限定のはずなのに2羽なのだ。と聞く無かれ…――
…こいつら互いに一歩も引かなかったんだよ。
「早く夢から醒めないかなー?」
「夢?」
「それ美味しい?」
「いやいや、食べ物じゃないんで」
拝啓、現実の皆様。
私を早く起こして下さい。
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【あとがき】
異変が起きてる最中でも、主人公はのんびり旅をしているんだよって話。